○香南市環境基本条例
平成18年3月1日
条例第137号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の策定等に係る指針(第8条)
第3章 香南市環境基本計画(第9条)
第4章 環境の保全及び創造に関する協働体制及び施策等(第10条―第30条)
第5章 地球環境保全の推進(第31条)
第6章 香南市環境審議会(第32条)
附則
前文
私たちのまち香南市は、四国山地を背に、南に太平洋を望む、緑あふれる山並み、きらめく海、清らかな川が流れるという恵まれた自然環境の中で、古代からの歴史的、文化的遺産を継承しつつ、環境と調和のとれたエコタウンのまちとして今日まで発展を続けてきた。
しかし、近年の社会経済活動の進展は、私たちの生活の利便性を高める一方で、大量の資源・エネルギー消費により、生活環境の悪化や豊かな自然の減少をもたらしてきた。
環境は、祖先から贈られたものであると同時に、子孫への預かりものであることから、私たちは健全で、豊かな環境の恵沢を享受する権利を有するとともに、その環境を将来の世代に引き継ぐ責務がある。
今日の環境問題は、一部地域の問題にとどまらず、地球規模の広がりを見せるとともに、ますます複雑、多様化の様相を呈していることから、私たちは、地球上の資源は有限であることに思いをめぐらし、公害の未然防止、自然環境の保全・向上等、日常生活や事業活動において、環境に充分配慮し、「最適生産・最適消費・最少廃棄」という形の環境への負担の少ない持続的、循環型社会の構築に向けて積極的に取り組まなければならない。
ここに私たちは、市民の総意として、人と自然が共生できる、恵み豊かな環境を保全し、創造するとともに、美しい水と緑と風に包まれ、元気で豊かに光るまちづくりを進めるために、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、事業者、市民及び滞在者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の世代の市民の安全かつ健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(3) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の安全かつ健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、健全で恵み豊かな環境が、すべての市民の安全かつ健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることを認識し、その環境をより質の高いものとして、これを将来の世代へ適切に継承していくことを目的として行わなければならない。
2 環境の保全及び創造は、すべての事業活動及び日常生活において、環境への配慮を行うとともに、自主的かつ積極的に環境への負荷の低減を図り、持続的発展が可能な社会を構築することを目的として行われなければならない。
3 地球環境の保全は、すべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関し、地域の特性に応じた総合的かつ計画的な施策を策定し、実施する責務を有する。
2 市は、前項の施策の策定及び実施に当たり、広域的な取組を必要とする場合には、国及び他の地方公共団体その他関係機関と協力して行うように努めるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、廃棄物を適正に処理し、及び自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずるとともに、環境の保全上の支障を防止するため、事業活動に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、地域社会の一員として、地域の環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(滞在者の責務)
第7条 市域の自然に親しみ、又は文化施設等を利用する滞在者は、環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力しなければならない。
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の策定等に係る指針
(施策の策定)
第8条 環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が保全されるよう、大気、水、土壌等が良好な状態に保持されること。
(2) 生態系の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が体系的に保全されること。
(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれるとともに、地域の歴史的、文化的特性を生かした快適環境が保全及び創造されること。
(4) 公害の未然防止、省資源及び省エネルギー並びに再生可能エネルギーの推進、廃棄物の適正処理及び減量化の推進等により、環境への負荷の少ない循環型社会づくりが行われること。
第3章 香南市環境基本計画
(環境基本計画)
第9条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、香南市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。
2 前項の環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民の意見を反映するように努めるとともに、あらかじめ香南市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
第4章 環境の保全及び創造に関する協働体制及び施策等
(施策の公表)
第10条 市長は、市民に環境の状況、環境への負荷の状況、環境基本計画に基づき実施された施策の状況等を明らかにし、これを公表するものとする。
(配慮)
第11条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たっては、環境の保全及び創造について十分配慮しなければならない。
(協働体制)
第12条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、市、市民、事業者及び民間団体が協働することのできる体制の整備に努めなければならない。
2 市長は、前項に規定する体制に係る申出があったときは、その意見を検討し、適切な措置を講ずるものとする。
(環境影響評価)
第13条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行おうとする事業者が、その事業の実施に当たり、あらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(指導等の措置)
第14条 市は、環境の低下及び悪化を防止し、又はこれを除去するため、住民及び事業者に対し必要な指導、助言及び勧告を行うことができる。
2 市は、前項の規定による勧告を受けた者が、その勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
(規制の措置)
第15条 市は、公害を防止するために、公害の原因となる行為に関し必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 市は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。
3 前2項に定めるもののほか、市は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。
(助成等の措置)
第16条 市は、事業者又は市民が自らの行為に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造に関する適切な措置をとることとなるように誘導するため、必要な経済的助成、技術的助言等の措置を講ずるように努めるものとする。
(環境保全に関する施設の整備の推進)
第17条 市は、廃棄物、汚泥及び下水の処理施設、その他の環境の保全に関する施設並びに公園、緑地等の人と自然の豊かな触れ合いを確保するための公共的施設等の整備を推進するものとする。
(資源の循環的利用等の促進)
第18条 市は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物発生の抑制及び減量、エネルギーの有効利用、資源の循環的な利用等が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、下水処理水の再利用、雨水の利用、その他の水の有効利用及び循環的な利用に資するための事業の促進に努めるものとする。
(森林及び緑地の保全)
第19条 市は、人と自然が触れ合い、みどりに親しむ恵み豊かな地域の形成を図るため、森林及び緑地の保全、緑化の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。
(田園環境の保全)
第20条 市は、農業生産と生活環境とが調和した豊かな田園環境の保全及び創造を図るため、農地の有効利用、農村の生活環境の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
(水環境の保全)
第21条 市は、さまざまな水生生物をはぐくむ清流や水辺の環境と保全を図り、市民の生活に潤いと安らぎを与えるように必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、良好な水源及び地下水の保全等を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(海と渚の保全)
第22条 市は、海洋の汚染を防止し市民の憩いの場であり、漁業及び観光産業等において重要な役割を果たしている美しい海及び渚を保全するため、必要な措置を講ずるものとする。
(快適環境の形成)
第23条 市は、自然に調和した地域の美観の維持、歴史的遺産の保全と活用、文化的で魅力ある街並みの創造、みどり豊かなまちづくり等を推進し、快適環境の形成を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境美化)
第24条 市は、環境美化の促進及び美観の保護等を図るため、ごみの投棄及び散乱の防止並びに自転車等の放置の規制等について、必要な措置を講ずるものとする。
(環境教育)
第25条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、自発的な環境への負荷の低減に資する活動の促進がされるよう、環境に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(自発的な活動)
第26条 市は、市民、事業者又はこれらの者で構成する団体(以下「団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する自発的な活動の促進がなされるように、指導、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第27条 市は、第25条の環境教育及び学習の振興並びに団体等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。
(環境等)
第28条 市は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な調査を行うとともに、そのために必要な監視、測定等の体制を整備するものとする。
(環境監視員)
第29条 市は、環境の状況を把握し、良好な環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、環境監視員(以下「監視員」という。)を置くことができる。
2 監視員の所掌事務は、次に掲げるとおりとする。
(1) 地域の環境の状況の監視及びその状況の通報
(2) 市民の環境の保全及び創造に関する知識の啓発
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
3 監視員は、10人以内をもって組織し、市長が委嘱する。
4 監視員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 監視員は、再任されることができる。
(率先実行)
第30条 市は、良好な環境の保全及び創造に資する行動を率先して実行するように努めるものとする。
第5章 地球環境保全の推進
(地球環境の保全)
第31条 市は、地球環境保全に関する施策を積極的に推進するものとする。
2 市は、国及び他の地方公共団体と連携し、地球環境の保全及び創造に関する情報の収集と提供、人材の育成等を図ることにより、地球環境保全に関する地域からの国際協力の推進に努めるものとする。
第6章 香南市環境審議会
第32条 この条例により、その権限に属する事項を審議するほか、市長の諮問に応じて良好な環境の保全及び創造に関する基本的事項について調査審議するため、香南市環境審議会(以下「審議会」という。)を置くことができる。
2 審議会は、環境の保全及び創造に関する基本的事項について市長に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員15人以内で組織する。
4 特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、審議会に特別委員を置くことができる。
5 委員及び特別委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 関係行政機関の職員
(3) その他市長が必要と認めた者
6 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 特別委員の任期は、当該特別の事項に関する調査審議が終了するまでの間とする。
8 委員及び特別委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成18年3月1日から施行する。
附則(平成19年3月27日条例第22号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成24年9月28日条例第49号)
この条例は、公布の日から施行する。