○香南市手話言語条例

令和6年3月27日

条例第17号

言語は、お互いの思いや感情を理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話言語は、手指や体の動き、表情を用いて視覚的に表現する言語である。ろう者は、物事を考え、意思疎通を図り、知識を蓄え、文化を創造する上で欠かせない言語として手話言語を大切に受け継いできた。

しかし、過去には、手話が言語として広く社会に認められてこなかったことや、手話言語による意思疎通を図りやすい環境が整えられてこなかったことから、ろう者は、必要な情報を十分に得られず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした中で、平成18年12月に国連総会で採択され、我が国も比準している「障害者の権利に関する条約」において、言語は「音声言語及び手話その他の形態の非音声言語」と定義され、手話は言語として国際的に認知された。

香南市は、手話が言語であるとの認識に基づき、市全体が手話言語の理解に努め、ろう者が手話言語を使用しやすい環境作りを推進することにより、お互いを尊重し合い共生する地域社会を築いていくため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語の理解の促進及び普及に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、ろう者とろう者以外の者がお互いを尊重し合いながら共生する地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 手話言語 手指及び体の動き、顔の表情等を組み合わせて視覚的に表現する独自の文法体系を持つものをいう。

(2) ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

(3) 事業者 市内に事業所又は事務所を有し事業を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 手話言語の理解の促進及び普及は、ろう者が手話言語による意思疎通を円滑に図る権利を有することを前提に、市民一人一人がお互いを理解し、人格と個性を尊重し、心豊かに共生する地域社会を実現することを基本として行うものとする。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話言語の普及及びろう者が手話言語を使用しやすい環境の整備が図られるよう、必要な施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、手話言語に関する市の施策に協力するよう努めるものとする。

2 ろう者は、手話言語に関する市の施策に協力するとともに、基本理念に対する理解の促進及び手話言語の普及に努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、手話言語に関する市の施策に協力するよう努めるとともに、ろう者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 市は、基本理念に基づき、次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 手話言語の理解の促進及び普及を図るための施策

(2) 意思疎通の手段として手話言語を選択することが容易にでき、かつ、手話言語を使用しやすい環境構築のための施策

(3) 地震、津波、風水害等の災害発生時において、ろう者が必要な情報を正確かつ速やかに得ることができるよう、手話言語による情報の提供及び意思疎通のために必要な支援を行うための施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

2 市は、前項の施策を推進するに当たっては、ろう者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めるものとする。

(財政措置)

第8条 市は、前条第1項各号に掲げる施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(委任)

第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和6年4月1日から施行する。

香南市手話言語条例

令和6年3月27日 条例第17号

(令和6年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第5節 障害者福祉
沿革情報
令和6年3月27日 条例第17号