○香南市低入札価格調査制度事務処理要領
令和元年8月19日
告示第39号
第1 低入札価格調査制度の趣旨
この告示は、本市が競争入札により建設工事の請負契約を締結しようとする場合において、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の10第1項の規定に基づき行う調査基準価格(第3参照)を下回る価格の入札で請負契約が締結された建設工事(以下「低入札工事」という。)を、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号)の趣旨に沿った品質とすることを目的として、本制度を運用する。
第2 適用基準
総合評価方式一般競争入札による建設工事は、地方自治法施行令第167条の10の2第2項の規定に基づく低入札価格調査制度による入札(以下「低入札」という。)とする。
低入札において、調査基準価格を下回る額の入札をした者(以下「低入札者」という。)を低入札価格調査制度の対象として扱う。
第3 調査基準価格及び失格基準
1 調査基準価格
低入札価格調査制度を適用する基準となる価格(以下「調査基準価格」という。)は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号の設計金額に係る算定式によるものとする。ただし、その額が予定価格に10分の9.2を乗じて得た額を超える場合は10分の9.2を乗じて得た額とし、予定価格に10分の7.5を乗じて得た額に満たない場合は10分の7.5を乗じて得た額とする(当該合計額に1万円未満の端数があるときはその端数を切り捨てた額とすることを原則とし、予定価格の10分の7.5に満たない場合は切り上げる。)。
(1) (2)以外の工事の場合
調査基準価格=直接工事費×0.97+共通仮設費×0.9+現場管理費×0.9+一般管理費等×0.68
(2) 建築工事(国土交通大臣が定める公共建築工事積算基準により積算した工事をいう。)の場合
調査基準価格=直接工事費×0.9×0.97+共通仮設費×0.9+(直接工事費×0.1+現場管理費)×0.9+一般管理費等×0.68
2 失格基準
入札時に全ての低入札者から徴取した工事費内訳書の直接工事費、共通仮設費、現場管理費又は一般管理費等のいずれかが次に掲げる基準(以下「失格基準」という。)に該当した場合は、当該低入札者は失格とし、当該失格者には、入札失格通知書(様式第1号)により通知する。
失格基準相当額を算定する場合においては、端数処理は行わず、円単位で単純に比較するものとし、失格基準相当額は、入札後公表する設計金額内訳書から算定できることから、入札時の公表は行わないものとする。
(1) 工事費内訳書の直接工事費が当該入札案件の設計書における直接工事費の85%未満であること。
(2) 工事費内訳書の共通仮設費が当該入札案件の設計書における共通仮設費の80%未満であること。
(3) 工事費内訳書の現場管理費が当該入札案件の設計書における現場管理費の90%未満であること。
(4) 工事費内訳書の一般管理費等が当該入札案件の設計書における一般管理費等の68%未満であること。
第4 調査基準価格及び失格基準価格の記載
調査基準価格及び失格基準価格は予定価格調書に記載し、調査基準価格の公表その他の取扱いは、建設工事及び委託業務における入札・契約制度に関する基本方針(平成20年4月21日付け20香南財発第12号副市長通達)第2の4によるものとする。
第5 入札参加者への周知
低入札価格調査制度を適用するときは、適用工事の指名通知書又は入札公告により、この告示の対象工事であることを明示するものとする。
第6 低入札価格調査の辞退
入札に参加しようとする者は、当該競争入札の開札までに、低入札価格調査事前辞退届(様式第2号)を提出することにより、開札の結果、自らの入札額が調査基準価格を下回った場合は、低入札価格調査を受けることをあらかじめ辞退できるものとする。低入札価格調査を辞退している入札参加者の入札額が、開札の結果、調査基準価格を下回った場合は、その時点で失格となるものとする。
第7 入札
1 入札開始前の留意点
入札執行者は、入札の執行前に次の事項を説明する。
(1) 低入札価格調査制度を適用した入札であり、調査基準価格及び失格基準を設けていること。
(2) 入札の参加申請時に低入札価格調査を辞退していない低入札者があった場合には、落札候補者の決定を保留すること。
(3) 入札参加者は、入札箱に入札書を投函する際に、持参した工事費内訳書を提出すること。工事費内訳書の提出のない者は、失格となること。
(4) 入札の参加申請時に低入札価格調査を辞退していない低入札者は、低入札調査に協力すること及び低入札調査資料を提出期限までに提出すること。ただし、当該低入札者が低入札調査を辞退することは妨げないこと。
(5) 低入札価格調査の結果、失格基準に該当する者又は契約を締結することが適当でないと判断された者は、失格となること。
(6) 低入札調査の結果は、入札の参加者全員に通知すること。
2 入札の執行
入札の結果、総合評価落札方式における評価値が最も高い者(以下「最高評価値者」という。)の入札額が調査基準価格を下回ったときは、落札の決定を保留し、当該最高評価値者を低入札価格調査対象者として決定のうえ、低入札価格調査を実施するものとする。最高評価値者となるべき者が2以上あるときは、くじにより最高評価値者を決定する。
3 入札終了時の留意点
(1) 低入札者がない場合で、予定価格の制限の範囲内で入札した者があるとき。
入札参加者に次の事項を告げて、その者のうち最低の価格で入札した者(総合評価方式による場合は、評価値の最も高い者)を落札者として決定する。
ア 落札者の入札金額及びその者の商号又は名称
イ 予定価格及び調査基準価格
(2) 入札の参加申請時に低入札価格調査を辞退していない低入札者があったとき。
入札の参加者に次の事項を告げて入札を終了する。
ア 入札の参加申請時に低入札価格調査を辞退していない低入札者があったため、落札候補者の決定を保留すること。
イ 今後、施工体制評価を行い、契約内容に適合した履行がなされるか否か調査した上で落札決定を行い、入札の参加者全員に結果を通知すること。
ウ 予定価格、調査基準価格及び全ての低入札者の入札書記載金額並びにその者の商号又は名称
エ 工事費内訳書記載の各経費が失格基準を下回る場合には、失格となること。
(3) 調査基準価格を上回る最低同額の入札を行った者が2者以上あるとき(総合評価方式による場合は、調査基準価格を上回る入札を行った者で評価値が最高かつ同点であるものが2者以上あるとき)は、全ての低入札者が低入札価格調査で失格となった場合を想定して、落札者とすべき者をあらかじめくじで決定する。
4 入札終了時の入札結果公表等
(1) 入札の参加申請時に低入札価格調査を辞退していない低入札者があった場合の入札は、落札候補者の決定を保留し、直ちに入札記録を公表する。この場合の入札記録には、落札候補者の表示はせず、全ての低入札者の金額記載欄の右端に「低入札」と記載する。
(2) 初度入札で、入札の参加者全員の入札が、予定価格を上回るもの又は調査基準価格を下回るものであった場合には、予定価格及び調査基準価格を公表しないものとする。
(3) 入札の参加申請時に低入札価格調査を辞退している入札参加者が、開札の結果、低入札者となった場合は、その時点で指名停止を伴わない失格とし、当該失格者には、入札失格通知書(様式第3号)により通知する。
5 落札者決定時の入札結果公表
(1) 低入札価格調査の結果、落札者が決定された場合は、4の入札記録の当該落札者欄の「低入札」と記載した下段に「※○/○落札決定」と記載する(「※○/○」には、審査会決定日を記入すること。以下この5において同じ。)。
(2) 低入札価格調査の結果、失格とされた場合は、4の入札記録における当該失格者欄の「低入札」と記載した下段に「※○/○失格決定・香南市建設工事競争入札心得第○条第○項第○号」と記載する。総合評価方式における入札結果についても、同様とする。
(3) 落札者決定時の入札記録は、これを入札終了時公表の入札記録と差し替えて公表する。
第8 低入札価格調査の開始
(2) 低入札価格調査対象者は、提出期限までに低入札価格調査辞退届(様式第6号)を提出することにより、低入札価格調査を辞退できるものとし、提出期限までに低入札価格調査資料及び誓約書の提出がない場合は失格とする。この場合において、予定価格の制限の範囲内の入札額で入札を行った他の者のうち、総合評価落札方式における評価値が最も高い者(以下「次順位者」という。)を落札者として決定する。ただし、次順位者が調査基準価格を下回る入札者であったときは、落札者としての決定を保留し、次順位者を低入札価格調査対象者として決定の上、低入札価格調査を実施するものとする。
第9 低入札価格調査の実施
契約管財課長は、低入札価格調査の対象となった工事の担当課長と協力して、低入札価格調査対象者から提出された低入札価格調査資料に基づき調査を実施し、必要に応じて事情聴取、関係機関への照会等を行うものとする。
第10 低入札価格調査結果の審議
契約管財課長は、低入札価格調査の実施結果について、香南市契約等審議会規程(平成23年香南市訓令第6号)第1条に規定する香南市契約等審議会(以下「審議会」という。)に報告するものとし、審議会は、当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められるか否かについて審議するものとする。
第11 落札者の決定
(1) 審議会の審議の結果、当該契約内容に適合した履行がなされると決定した場合は、低入札価格調査対象者を落札者として決定する。
(2) 審議会の審議の結果、当該契約内容に適合した履行がなされないおそれがあると決定した場合は、低入札価格調査対象者を落札者とせず、次順位者を落札者として決定する。ただし、次順位者が調査基準価格を下回る入札者であったときは、落札者としての決定を保留し、第9から第15までの規定を準用し同様の手続を行うものとする。
第12 落札結果の通知
落札者が決定した場合は、落札結果を入札の参加者全員に対して通知するものとする。
第13 低入札価格調査審査基準
1 指名停止措置を伴う失格
審査会の審査の結果、次の(1)から(9)までのいずれかに該当するとされた場合は失格とし、その者を香南市建設工事請負業者指名停止措置要綱(平成18年香南市告示第6号。以下「指名停止措置要綱」という。)の定めるところにより指名停止とする。
共同企業体による入札参加において、次の(1)から(9)までのいずれかに該当して失格となったときは、当該共同企業体構成員全員を指名停止措置の対象とする。ただし、当該共同企業体構成員のうち特定の構成員のみが(7)から(9)までのいずれかに該当する場合は、指名停止措置はその該当する構成員にとどめ、他の構成員の指名停止は行わない。
(1) 第6の規定による低入札価格調査事前辞退届の提出がない場合であって、理由なく期日までに低入札調査資料の提出がないとき(誓約書、入札価格決定に際しての組織的意思決定を示す挙証資料、積算内訳書、資材納入業者若しくは下請予定業者の見積書等低入札調査資料に添付すべき資料の添付がない場合又は添付すべき資料が不足する場合を含む。)又は事情徴取に応じないとき。
(2) 低入札調査資料として提出された積算内訳書(以下「積算内訳書」という。)において、資材納入業者又は下請予定業者の見積書等に記載の見積金額未満の額で経費の積算が行われているとき。
(3) 積算内訳書において、設計図書と異なる仕様で経費が計上されているとき。
(4) 積算内訳書において、資材納入業者又は下請予定業者の見積書等に記載の仕様とは異なる仕様で経費の積算が行われているとき。
(5) 積算内訳書において、直接工事費、共通仮設費、現場管理費若しくは一般管理費等の合計若しくは全ての経費の合計が誤っているとき又は入札時提出の工事費内訳書の記載内容と一致しないとき。
(6) 積算内訳書において、直接工事費、共通仮設費、現場管理費又は一般管理費等の積算が項目別に行われていないとき。
(7) 低入札調査中に指名停止措置要綱において指名停止の対象となる事案に該当し、契約を締結することが適当でないと判断されるとき。
(8) 低入札者が、当該入札に当たって提出した配置予定技術者届出書等に記載した技術者を別の建設工事の競争入札の配置予定技術者として届け出て、その工事を落札したとき。
(9) その他適正な契約の履行が行われないおそれがあると認められるとき(低入札調査中に入札参加資格を喪失した場合又は市の契約の相手方とすることが著しく不適当であると判断された場合を含む。)。
2 指名停止措置を伴わない失格
審査会の審査の結果、次の(1)から(4)までのいずれかに該当するとされたときは失格とするが、指名停止措置は行わない。
(1) 入札時に提出することとされている工事費内訳書の提出がないとき(工事費内訳書に直接工事費、共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の記載のない者は、工事費内訳書の提出がなかったものとみなす。)。
(2) 積算内訳書の直接工事費、共通仮設費、現場管理費又は一般管理費等の項目及び内容が土木工事標準積算基準又は公共建築工事共通費積算基準の項目及び内容と異なり、補正の結果、直接工事費、共通仮設費、現場管理費又は一般管理費等のいずれかの額が失格基準に該当するとき。
(3) 低入札調査中に香南市建設工事請負業者指名回避措置基準(平成27年香南市告示第86号)による措置を受けたとき。
(4) 調査基準価格以上かつ予定価格の制限の範囲内で入札した者から、当該入札に当たって提出した配置予定技術者届出書等に記載した技術者を、別の建設工事の競争入札の配置予定技術者として届け出て、その工事を落札したことによる配置予定技術者の別工事への配置に関する届出書(様式第19号)が提出されたとき。
第14 低入札工事契約書の取扱い
低入札者と契約の締結をする場合は、次に掲げる事項を条件とし、建設工事請負契約書(金銭保証用)(以下「契約書」という。)に、低入札価格調査制度に基づく特記事項(様式第20号)として添付する。
低入札者との契約において特記事項として取り扱われる条件は、次のとおりとする。
(1) 契約の保証の額は、通常請負代金額の10分の1以上が10分の3以上となること。
(2) 主任技術者又は監理技術者とは別に、建設業法(昭和24年法律第100号)第7条第2号イ、ロ又はハに該当する技術者を、専任で1人現場に配置する必要があること。
(3) 前払金について、通常請負代金額の10分の4以内が請負代金額の10分の2以内となり、中間前金の支払は適用されないこと(出来高部分払方式(第15参照)を採用する。)。
(4) 瑕疵の修補又は損害賠償の請求ができる時期は、木造の建物等及び設備工事等の場合は、通常1年以内が2年以内となり、コンクリート造等の建物又は土木工作物等の建設工事の場合には、通常2年以内が4年以内となること。
(5) 契約解除に伴う違約金の額は、通常請負代金額10分の1が10分の3となること。
(6) 瑕疵担保期間中は、受注者において年1回の現地確認を行い、発注者への報告を義務付けること。
第15 低入札工事における出来高部分払方式
低入札工事における請負代金支払方法は次のとおりとし、中間前払金の支払は行わない。
(1) 前払金
受注者の請求による前払金を支払うが、工事請負代金の10分の2とする。
(2) 部分払金
算定方法は「当該請求に係る出来形部分又は工事現場に搬入済みの工事材料若しくは製造工場等にある工場製品(以下「出来形部分等」という。)に相応する請負代金相当額が請負代金額の10分の3以上の額に達した場合に、請負代金相当額の10分の9以内の額の請負代金の支払いを請求できる。」とし、低入札工事以外の取扱いと同様とする。工事出来高が10分の3以上となった時点で、この部分払金の請求を義務付ける。
(3) 出来形部分等の確認
低入札工事受注者は、出来形部分等に相応する請負代金相当額が請負代金額の10分の3以上の額に達したときは、速やかに第1回目の出来形部分等に対する確認を市に請求しなければならない。
(4) 部分払の請求方法
・第1回目の部分払
受注者は、市から出来形部分等について確認の通知があったときは、通知を受けた日から10日以内に第1回目の部分払の請求をしなければならない。
・第2回目以降の部分払
受注者は、第1回目の部分払を受けてから2箇月ごとの期限内に出来形部分等の確認を市に請求し、部分払を受けなければならない。したがって、受注者は毎月部分払を受けることも可能であるが、毎月1回を超える請求を行うことはできない。受注者には毎月もれなく部分払を受けることを義務付けるものではなく、工種や工区の区切りに応じて受注者が任意に請求することを認める。ただし、最低でも2箇月に一度は部分払を受けることを義務付け、以後、工事完成までこれを繰り返すことで適正な工事の施工を確認していく。
附則
この告示は、公表の日から施行し、同日以後に公告を行う一般競争入札から適用する。
附則(令和5年3月22日告示第29号)
この告示は、令和5年4月1日から施行する。
別表(第8関係)
低入札価格調査資料
調査項目 | 提出書類 |
(1) 当該価格で入札した理由 | |
(2) 入札価格の詳細内訳書 | 任意様式※ |
(3) 下請予定者一覧表 | |
(4) 手持工事の状況 | |
(5) 対象工事の工事場所と入札者の事業所等との関連 | |
(6) 対象工事に係る手持資材の状況 | |
(7) 対象工事の資材購入先及び購入先と入札者との関係 | |
(8) 対象工事に係る手持機械の状況 | |
(9) 対象工事に係る機械のリース予定 | |
(10) 対象工事に係る労務者の具体的供給見通し | |
(11) 対象工事に係る建設副産物の搬出地 | |
(12) 過去に施工した公共工事名等及び工事実績 | |
(13) その他参考となる事項 | |
(14) 経営状況、信用状態 | 必要に応じて発注者が調査するため、資料の提出は不要 |
※ 入札価格の詳細内訳書について
・工事費内訳
市が示した設計書(内訳書、明細書)の内容を適切に計上する(工種、数量、単価、金額)。
・共通仮設費、現場管理費、一般管理費等については、必要な経費を適切に計上する。一括計上は認めない。