○香南市地下水保全条例
令和2年9月28日
条例第38号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 地下水の水質保全(第8条)
第3章 地下水の涵養(第9条・第10条)
第4章 地下水の管理(第11条―第18条)
第5章 補則(第19条)
第6章 罰則(第20条―第22条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、香南市環境基本条例(平成18年香南市条例第137号)の趣旨に基づき、市民生活にとってかけがえのない資源である地下水において、採取による著しい地下水位の低下とこれに伴う地盤沈下を未然に防止し、将来にわたり水質及び水量の両面から保全を図り、地下水が市民の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることを認識し、その環境をより質の高いものとして、将来の世代に適切に継承していくことを目的とする。
(基本理念)
第2条 地下水は、農林水産業活動等と相まって地下に浸透し、水循環を構成する重要な要素であることを踏まえて、その保全が図られなければならない。
2 地下水は、生活用水、農業用水、内水面漁業用水、工業用水等として社会経済活動を支えている貴重な資源であり、市民共有の貴重な財産の認識の下に、その保全が図られなければならない。
3 地下水の保全は、水質及び水量を将来にわたって維持するため、市、市民及び事業者が、それぞれの責任と役割の下に、水質保全対策、涵養対策、節水対策等を総合的に推進することにより図られなければならない。
(定義)
第3条 この条例において「地下水」とは、市全域の地表面より下に存在する水をいう。ただし、温泉法(昭和23年法律第125号)第2条第1項に規定する温泉、鉱業法(昭和25年法律第289号)第3条第1項に規定する可燃性天然ガスを溶存する地下水並びに河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項及び第100条第1項に規定する河川の流水であることが明らかなものは含まないものとする。
(市の責務)
第4条 市は、この条例の目的を達成するため、地下水の保全について総合的、広域的かつ計画的な施策を実施するとともに、率先して保全に努めなければならない。
2 市は、地下水位の監視を行い、その情報を公開し、地下水の保全について市民に対し意識の啓発を図らなければならない。
(市長の責務)
第5条 市長は、国及び高知県(以下「県」という。)その他の公共団体に係る事務について、この条例の目的達成のため必要と認めたときは、国及び県その他の公共団体に対し、必要な措置を講ずることを求めなければならない。
(市民及び事業者の責務)
第6条 市民及び事業者は、自ら地下水の保全に努めるとともに、市が行う地下水の保全のための取組に協力しなければならない。
(地下水採取者の責務)
第7条 地下水を採取する者(以下「地下水採取者」という。)は、地下水の採取量の縮減に努め、自ら地下水の保全のために必要な措置を講ずるとともに、市が行う地下水の保全のための取組に協力しなければならない。
2 次の各号に該当する者は、規則で定めるところにより、あらかじめ市長と協議し、協定を締結しなければならない。
(1) 新たに地下水採取者となろうとする者又は地下水採取者で地下水の採取量を変更しようとするもののうち、規則で定める大規模採取者となろうとするもの
(2) その他特に市長が必要と認める者
4 第2項の規定により協定を締結した者は、その協定の内容を変更しようとする場合は、速やかに市長と協議しなければならない。
第2章 地下水の水質保全
(水質保全)
第8条 市は、市民及び事業者とともに、県及び近隣市町村との連携を図りながら地下水の水質の保全に努めるものとする。
第3章 地下水の涵養
(地下水の涵養対策の推進)
第9条 市は、市民及び事業者とともに、県及び近隣市町村との連携を図りながら地下水の涵養対策を推進するものとする。
2 市は、地下水の涵養を合理的に促進するため、事業者及び関係行政機関と連携し、協力するものとする。
3 市民及び事業者は、前項の規定を踏まえ、自ら地下水の涵養対策に努めるとともに、市が行う涵養対策に協力しなければならない。
(1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に定める開発行為
(2) 香南市土地環境保全条例(平成18年香南市条例第183号)に係る主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為
第4章 地下水の管理
(地下水の状況把握)
第11条 市長は、地下水の水質及び水量の状況を把握しなければならない。
2 市長は、前項の規定に基づき地下水の状況を把握するため必要があると認めるときは、井戸の設置者に対し、協力を求めることができる。
3 市長は、第1項の規定による状況の結果に基づき、地下水の水質及び水量の状況を必要に応じて公表するものとする。
(緊急時の措置)
第12条 市長は、有害物質(カドミウムその他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として規則で定めるものをいう。)、毒物(毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第2条第1項に規定する毒物をいう。)その他の物質(以下「汚染物質」と総称する。)により地下水が汚染され、又は汚染されるおそれが明らかであり、速やかに汚染物質の除去その他の措置を講じなければ市民生活に重大な支障が生じると認めるときは、地下水の保全のため必要な措置を講ずるものとする。
2 市長は、前項の措置を講ずるため必要な限度において、地下水を汚染させ、又は汚染させるおそれがある者に対し、汚染物質の除去その他必要な措置をとるよう命ずることができる。
3 市長は、第1項の規定による措置を講ずるときは、地下水の汚染の状況その他必要な情報を速やかに公表するものとする。
4 市長は、第1項の規定により措置を講じたときは、地下水を汚染させ、又は汚染させるおそれがある者に対し、当該措置に要した費用の全部又は一部を請求することができる。
(過剰な採取の抑制)
第13条 地下水採取者は、使用の用途に必要な量を著しく超えて採取をする等地下水の過剰な採取をしてはならない。
2 市長は、前項の規定に違反した地下水採取者に対し、地下水の採取量の縮減、地下水の有効利用その他必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
3 市長は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなくその勧告に従わないときは、当該勧告に係る措置を講ずるよう命ずることができる。
(地下工事における地下水への影響防止)
第14条 建築工事等において地下工事(杭打ち工事その他の工事で規則で定めるものをいう。)を行う者は、地下水の水質又は水量の保全に影響を及ぼさないよう措置を講じなければならない。
2 深さが10メートルを超える地下工事を行おうとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ市長に届け出なければならない。
(水道水源周辺工事の事前協議)
第15条 市の水道事業における水道の水源となる井戸から規則で定める距離の範囲内で、市長(水道事業の管理者の権限を行う市長をいう。以下この条において同じ。)が別に定める地域において地下工事等を行おうとする者は、あらかじめ市長と協議しなければならない。
(立入調査等)
第16条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、当該職員又は市長が委任した者(以下「当該職員等」という。)に他人の土地又は建物に立ち入り、地下水又は土壌の状況に関する調査又は検査(以下「調査等」という。)をさせることができる。
2 前項の規定により調査等を行う当該職員等は、立入りの際、あらかじめその旨を土地の占有者に告げなければならない。
3 日出前又は日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、第1項の規定による立入りをしてはならない。
4 第1項の規定により調査等を行う当該職員等は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
5 市は、第1項の規定による立入りにより損失が生じた場合は、その損失を受けた者に対して、これを補償しなければならない。
6 土地の占有者は、正当な理由がなければ第1項の規定による調査等を拒み、又は妨げてはならない。
(報告の徴収及び助言等)
第17条 市長は、地下水を保全するため必要があると認めるときは、地下水採取者及び地下水を利用する者並びに地下水に影響を与え、又は与えるおそれがある者に対し、地下水の保全のための措置の状況その他必要な事項に関し、報告を求め、又は助言し、若しくは指導することができる。
(助言)
第18条 市は、地下水の保全を図るために必要な設備の設置又は改善を行う者に対して、技術的な助言に努めるものとする。
第5章 補則
(委任)
第19条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第6章 罰則
(罰則)
第20条 第12条第2項の規定による命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
(過料)
第22条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。
(1) 第7条第3項の規定による勧告に従わない者
(2) 第13条第3項の規定による命令に従わない者
(3) 第16条第6項の規定に違反した者
(4) 第17条の規定による報告を求められて、これを拒み、又は虚偽の報告をした者
附則
(吉川村地下水保全に関する条例の廃止)
4 吉川村地下水保全に関する条例(平成7年吉川村条例第19号)は、廃止する。
(経過措置)
5 この条例の施行前に前項の規定による廃止前の吉川村地下水保全に関する条例の規定によりなされた処分、届出、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされた処分、届出、手続その他の行為とみなす。
6 この条例の施行前にした行為に対する吉川村地下水保全に関する条例の罰則の適用については、なお従前の例による。